さよならリミットブルー
それだけ言い残すと、階段を上った先にある屋上へと消えていった。
「顔とセリフが合ってないよ………」
人を傷つけることばかりするくせに、最後にはいつも泣きそうな顔をするんだ。
傷つける側が辛そうにするなんて、反則だよ。
涙目になるくらい大切な物なら、素直に受け取ればいいじゃん。
わたしは受け取って欲しくて何度も渡してるんだもの。見せびらかしてるわけじゃないんだよ。
日野くんのバカ…………!
屋上まで追い掛けたいところだけど、今日はやめておこう。
あのピアスを捨てたままだと、きっと日野くんは後悔すると思うから。
これは初めて会ったあの日のお礼。
暗くなる前に見つけてあげる。
そう思った後の行動は早い。
くるりと後ろを向けば、誰も居ない廊下を走り出した。