さよならリミットブルー
わたしが知りたいことなんて、日野くんは全部わかってると思う。
わかって聞くのはずるい。わたしから切出せと言っているようなものだ。
「………どうしてピアスを受け取ってくれないの?」
何も言い出さない日野くんに耐え切れず、結局自分から話を振ることになった。
たぶんあまり良い顔はしていないと思う。
怖くて目を逸らしたままだけど、それだけは伝わってきた。
「本当に俺の物なのかわからないから、かな………」
「え、どういう意味?」
耳を疑うような発言に、つい顔を上げてしまった。
日野くんと初めて会った場所で拾って。自分の物だと匂わせるような振る舞いをして。
自分の物かわからない?
その言葉は、またいつもの嘘なのだろうか。
「たしかにそのピアスを落としたのは俺だ。けど、持っていていい物なのかわからないんだ」
ピアスを持ったままの手が微かに震えた。
わたしが必死になって探した物は、なんの意味も持たないただのピアスだったの?