さよならリミットブルー

「“あの時”、見過ごすことだってできたのに………」


日野くんと初めて会った日のこと。

桜が降る公園のベンチで、キミから貰った優しさを今でもよく覚えている。


上手く言えないけど「関わりたくない」なんてきっと嘘だと思うの。

冷たい言葉で人を遠ざけても、元々の優しさは消えたりしない。

今日だって、来てくれたもの。


「独りがいいなんて本当は思ってない!ちゃんと自分の気持ちと向き合ってよ……」


ひとりでたくさんの苦しみと戦っていたのだと思うと、どうしようもなく涙は溢れてくる。


あの時、いったいどんな気持ちで優しくしてくれたんだろう。

わたしには知らない葛藤があったに違いない。

日野くんはわたしが思っている以上に、優しい人なんだ。



「ーーーなんで、お前が泣いてるんだよ」



ほら、やっぱり。

涙を拭ってくれた後、そう言ってくすりと笑った。

触れられたところが熱くてクラクラしそう。

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