さよならリミットブルー
聞き覚えがあるセリフなのは、気のせいじゃないと思う。
ここに来る前にわたしが日野くんに言った言葉。
覚えていてくれたんだ………。
「二宮となら、きっと前を向いて生きていける気がするから」
出会った時からずっと日野くんに近づきたかった。友達になりたかった。
心の闇を取り払うとか、そんな大それた力はないけれど、日野くんがわたしを必要だと言ってくれるなら側に居させてほしい。
「こっ、こちらこそよろしくお願いします………!」
真っ直ぐ向けた視線の先には、照れくさそうに笑う日野くんが映る。
そんな笑みにつられて、堪えていた顔が緩んでしまった。
あ、そうだ。
今なら、もしかして……。
「このピアス、受けってくれないかな?」
落としてしまっていたピアスをようやく拾い上げ、
「やっぱり日野くんが持っているべき物だと思うから」
日野くんの前に差し出してそう言葉を続けた。