さよならリミットブルー
「作戦考えるのもいいけど、もう少しで体育祭だぞ。そんなのんびりしてていいのか?」
「あー……体育祭、ねぇ……」
月が変わったということは、学校の行事も始まるということ。
碧人くんの記憶を取り戻すことに夢中で、目の前に迫っている体育祭を少し忘れていた。
2日に渡って学校全体で取り組む体育祭は、なかなかの迫力がある。
文化祭と1、2を争う大きな行事だし、みんなすごく燃えている。
放課後や昼休みに練習をしている生徒は少なくない。
「でもわたしが出るのはバレーだけだし、楽勝だよ」
「どうだか」
「これでもバレーボールは得意なんだからね!」
「ふーん」
興味なさげに返事をする碧人くん。明らかに棒読みだ。
「頑張ってね」とか応援のひと言くらい言ってくれてもいいのに。
碧人くんのクールさには参るよ。
「碧人くんは何出るんだっけ?」
「バスケと借り物競争」
「へー、2つも出るんだ」
「人数が足りないんだとさ」
碧人くんなら「面倒くさい」とか言って何も出なそうなのにね。
イケメンだと運動もそつなくこなしそうだけど、碧人くんはどうかな。
当日は桃花と一緒に碧人くんの応援しようっと。