さよならリミットブルー

恥ずかしさに耐えきれず目を塞いでいたわたしの耳に、


「芽衣子のおっちょこちょい」


と桃花の微妙な声が聞こえた。

おっちょこちょい?


「二宮が普段どんな生活を送ってるのか、よくわかる弁当だな」


続いて聞こえたのは碧人くんの声。

生活がわかる?

わたしの生活が表れてるお弁当って何?


2人の言葉の意図が理解できず目を開けて確認してみれば「げっ!」と今度はわたしの残念な声が零れた。


「めちゃくちゃ寄ってる………」


早起きして作ったお弁当がぐちゃぐちゃに混ざり合い、変わり果てた姿でお弁当箱の右側に偏っていた。

もしかして、碧人くんを探しに適当に鞄を掴んだあの時……。

あぁ、なんて情けないんだろう。

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