さよならリミットブルー
「いや、そんな悪いです」
この人だって休憩したくてここに来たんだと思う。
それなら、こんなにあっさり譲らないでほしい。
「えっと、わたしはたまたま通りかかっただけなので………その………」
あたふたとその場しのぎの言い訳を並べるわたしを見て「嘘つかないでください」と、彼は優しく微笑んだ。
「足、痛むんですよね?」
「なっ……」
「なんでわかったんですか」と、最後まで言葉にはできなかった。
目の前に差し出された物に驚いてしまったからだ。
「使ってください」
渡されたのはどこにでも売っている普通の絆創膏。
きっと、片足を庇うようにして立っていたわたしの姿を見て違和感に気づいたんだと思う。