さよならリミットブルー
「えーっと………」
少し目を泳がせてから一呼吸置く。
どうしようと悩んだけれど、足の痛みは限界を超えていた。
「ありがとう……ございます……」
ぽつりと言葉を零して差し出された絆創膏を手に取る。
「本当に助かりました」
そして、彼の目をしっかりと見据えてそう言えた。
「どういたしまして」と、微笑む姿は太陽のように輝いて見えるのに、やっぱりどこか儚げで。
ぎゅっと、胸の奥が苦しくなるような笑顔だった。
「それじゃあ、俺はこれで失礼します」
「待っ………」
……………待って?
今、そう言おうとした?
偶然会っただけの彼を引き止めたって何もないのに。
きっともう会うことだってないだろうし、これが最初で最後。
けれど、それが嫌だった。
最後にしたくない。そんな想いが頭の中を過った。