さよならリミットブルー

もうなにが「まかせて!」だよ……。

あともう少しでマッチポイントなのに。


他のみんなも疲れが出てきたのか、ミスが目立つ。

さすが決勝まで勝ち進んだ3年生は強い。


でも、負けたくない。


桃花の隣で碧人くんが見ているのに。

1度も声援を貰えていないけど、背後からでもばっちりと視線を感じ取れる。

碧人くんの前で失敗できないっ……!


ちょうどわたしの真上に上がったボールを見て、少し息を整えてから大きく腕を振った。

勢いは衰えてきたものの、しっかりと相手コートの床に弾けて落ちた。

わぁっ!と響く歓声に少し照れる。


ミスしなくてよかったとホッと胸を撫で下ろして後ろを振り返ると、


「あっ……」


碧人くんと視線が重なった。


ちゃんと見てくれてる……。

自意識過剰で気持ち悪いかもしれないけど「頑張れ」って言ってくれたような気がした。

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