あのことわたし
あのことわたし
本編
図書室の、静かな空気と古書特有の甘い香りは落ち着く。
テーブルに頬杖をついて、ぼんやり並ぶ本棚を眺める。
テーブル席には、わたしと神田君が隣り合わせで座ってるのみ。
神田君に誘われて、図書室にきたけど、たいてい本を開くと眠気に襲われるし、つまんない。
神田君のほうをみると、神田君は本に夢中だ。
ちょっと話しかけてみよう。
静かだね。
神田君に近づいて、片手を口にそえてささやく。
神田君は目をあげずに答えた。
「うん」
ほかにどんな話をしようかな。
そうだ。
そういえば、国語の佐野、彼女できたとて授業終わる間際に告白してきたよ。
「うん」
おどろいちゃった。
「うん」
佐野、まだ30だっていうのにハゲだからね。
「うん」
あれでも彼女できるんだー、って、ちょっと感銘受けた。
「うん」
クラスの川島さん、知ってるでしょ?
「うん」
実は神田君のこと………、……あー、やっぱりなんでもない……。
「……うん」
テーブルに頬杖をついて、ぼんやり並ぶ本棚を眺める。
テーブル席には、わたしと神田君が隣り合わせで座ってるのみ。
神田君に誘われて、図書室にきたけど、たいてい本を開くと眠気に襲われるし、つまんない。
神田君のほうをみると、神田君は本に夢中だ。
ちょっと話しかけてみよう。
静かだね。
神田君に近づいて、片手を口にそえてささやく。
神田君は目をあげずに答えた。
「うん」
ほかにどんな話をしようかな。
そうだ。
そういえば、国語の佐野、彼女できたとて授業終わる間際に告白してきたよ。
「うん」
おどろいちゃった。
「うん」
佐野、まだ30だっていうのにハゲだからね。
「うん」
あれでも彼女できるんだー、って、ちょっと感銘受けた。
「うん」
クラスの川島さん、知ってるでしょ?
「うん」
実は神田君のこと………、……あー、やっぱりなんでもない……。
「……うん」
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