『大好き』と言えたらどんなに幸せだろう。
出会い
陽気はすっかり春らしくなった。


片岡雫(かたおか しずく)。

もうすぐ16才。


明日からいよいよ高校生になる。






くすみのない透き通った空が私の頭の上を覆っている。


気持ちがよくて、思わずベランダで両手を広げて伸びをした。



「雫ー。明日の準備、ちゃんとしときなさいよ。初日から恥かかないようにね。」

「はーい。」



お母さんの声にやっと私は筆箱を覗いた。



新しいペンケースにはまだ独特のプラスチックの匂いが漂った。



「あれ、消しゴム切らしてた。」


明日慌てて買うのも嫌だし、暇だし、散歩がてらコンビニでもいってこよ。








外の空気は澄んでいて、時々通る車が少しだけ気になる程度。



コンビニで消しゴムを手にとる。





コンビニの自動ドアが開くたびに爽やかな春風が入って、私の髪を揺らした。
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