落ちこぼれシンデレラ
私の頭の上にある綾の手を叩き落とし、
私は冷静を装った。
……この後輩に通じる訳がないが。

「あっ 1年生の望月 燎くんだ」
「こんにちは、真文先輩」
「こんにちは〜」

真文 綾香(まぶみ あやか)
それが綾の本名である。
因みに 柄沢 美紅(からさわ みく)
灰食 真白(はいばみ ましろ)
それが私達の本名だ。

「聞いてくださいよ、先輩」
「綾、聞いてやれよ。私は真麻の所に行く」
「ええ!?酷いですよ、真白先輩!」
「あーあー、聞こえないなあー」
「だから抑揚をつけて下さいよ」

この喧しい後輩は 望月 燎(もちづき かがり)
王子様とか言われているけど、
ハーフで金髪で文武両道ということしか……

「こんなのが王子って…」
「酷くないですか?こんなに王子っぽいのに」
「どこがだよ」

笑って子猫の首を刈る男が?
え、なに。ただの猟奇野郎だろ?

「……真白先輩が俺をいじめる」
「鎌片手に脅してきたのは誰だよ」
「えー? 友達になりたかっただけなのに…」
「幽霊の友達にしたいのか」

鎌を片手に「友達になりましょう」と言う
金髪碧眼の少年……小道具に子猫の首。
こ い つ は 狂 っ て る

「もう、真白ってば厨二病なんだから」
「誰がだ、誰が」
「先輩まで厨二病だったの…?」
「おい。お前もか」

常識人が欲しいと思う今日のこの頃。
綾は天然ボケだから気づかないか………

「先輩、逃げないで下さいよ…」
「っ!?」

燎の初めて聞いた低い声に背筋が凍った。
……嗚呼、平和が愛おしい。
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