涙の雨

「来て。」


強引に手を引かれ、階段を上っていく。


「どこ行くのっ!?」


花菜は答えてくれない。
なにも言わないでただ走っていく。


「はいっ。ここに来たら大丈夫!!」


着いたのは、4階の校舎の端の空き教室。
古くなって使えないような机や椅子が
たくさん置かれていた。


「蒼太君と何かあったの?」


その言葉で私の心のなにかが
プツンッて切れた気がした。


「…ふぇっ…そっ、たがぁ…
そぉたがぁぁ!!」


とどめなく流れてくる涙。
涙は悲しみを流してくれるとか言うけど
全くそんなことない。
泣いても泣いても悲しみは
流れてくれなくて、涙は止まらなくて…


< 7 / 21 >

この作品をシェア

pagetop