鈍感ちゃんと意地悪くんの初恋物語
「ほら美空」

舞台の中央で、瀬田が呼んでいる。
手を伸ばしている。

「瀬田、やっぱりダメだって、無理」

ふるふると頭をふるあたしを、優しく見つめている。

「おいで、大丈夫だから」

「うん……」

どうにか、瀬田に手を引かれて、舞台の中央に着いた。
けど、何もできないし、恥ずかしくて俯いてしまう。

よしよし、と、瀬田に背中を撫でられた。
目の前にはマイク、そして大勢の、人々。
うわぁ……無理。
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