鈍感ちゃんと意地悪くんの初恋物語
「はい、これ」

あたしは瀬田に、コーヒーを差し出した。

「このメーカーヤダって前言ったじゃん」

買ってきたコーヒーに、文句を垂れる。
あたしはコーヒーの味なんてわからないし、どれも一緒だと思うんだけどな。

「いつものメーカーの、売り切れてたし。
いらないんだったらあげないけど?」

一度差し出したコーヒーを引っ込める。

「いらないとは言ってねぇっ。
仕方ないからこれで許してやる」

「なによ、偉そうに!」

近づいてきたと思ったら、さっとコーヒーを掠め取られた。
結局いるんだったら、最初から文句言わなければいいのに。
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