choice 01
呆れ気味の光一に美夢は尋ねた。
「娘さんがいるんですか?」
光一は美夢に答えた。
「うむ、24歳になる娘が一人な…。茶道の修行がまだまだ足らねと言うのに…ふらふらしおって」
娘の愚痴を言い出した光一を見て、サキは言った。
「あらあら…あなたったら、こんな所でまで亜美(あみ)の愚痴を言っても、皆さんに迷惑ですよ」
美夢はサキに尋ねた。
「亜美さんって言うんですか?」
サキは笑顔で美夢に返す。
「ええ…一人娘よ。こうは言ってもこの人娘には甘いのよ」
すかさず光一は反論する。
「何を言うか!あいつには早く婿を見つけさせて、家業を継いでもらわねば…」
酔っ払った愛美が、光一の反論を遮る。
「年頃の女の子が、修行なんかやってられるかっての!」
容子が愛美を抑える。
「愛美っ!失礼だってば!」
光一をなだめるサキに、愛美のフォローに追われる容子…それに上手く溶け込む美夢…。
ワイワイガヤガヤとやっているが、楽しそうだ。
そんな光景を少し離れた席から見ていた、葵は一人呟いた。
「ふむ…、やはりコーヒー6の牛乳4の割合に、シロップ三つだな」
葵は自分で作ったアイスカフェラテを堪能している。
そして隣に座っている、専門学生の順平に言った。
「君もいかがです?順平君。よかっら作りますよ」
順平は苦笑いしながら言った。
「ありがとうございます…。でも、遠慮します。俺…無糖派なんで…。葵さん甘党っすか?」
シロップ三つはかなり甘いが、順平の苦笑いを気にする事なく、葵は言った。
「ええ…、甘い物を摂取していないと、僕の場合…落ち着かないので…、軽い中毒症状です」
「ははは…、三つはさすがに多いっすよね…」
「よく言われます…。あっ、それと僕の事は、さん付けで呼ばなくて結構ですよ…、歳も一つしか違いませんからね」