choice 01
少し考えて、順平は葵に言った。
「わかったっす、じゃあ葵君って呼ばせてもらうっす」
「わかりました。では、そう呼んで下さい」
すると、葵と順平の二人に、カクテルらしき物を片手に有紀が話し掛けて来た。
「私は二人共呼び捨てで、呼ばせてもらうぞ。葵に順平」
そう言うと有紀は葵の隣に座る。
葵は有紀のカクテルを見て言った。
「カルーアミルクですか…」
「私も甘党でな…、まぁ…君と似たようなところだ。順平は未成年だか…、葵…君は二十歳だろ、酒は飲めないのか?」
「飲めなくはありませんが、アルコールを摂取すると、思考が弱冠低下しますからね…、なるべく飲まないようにしています」
「ふふ…、成程…。どっかの馬鹿にも聞かせてやりたいな」
「どっかの馬鹿って俺の事?」
そう言いながら、歩は九条と一緒にやって来た。
歩に有紀が更に毒づいた。
「ほお…、お前にも自覚があるのか?なら尚の事、たちが悪いな」
すかさず九条が歩のフォローをする。
「まぁ、片岡さん…、いいじゃないか、新しい出会いを祝い、お互いにグラスを交わす…。多目に見てやってくれ」
「この男を甘やかすと後で痛い目を見る事になるぞ、九条氏」
有紀が九条に注告したところで、パーティールームの入口が開いた。
開いた入口から、先程受付をしていた女性と、もう一人50歳前後のコックの服装をした男性が、ワゴンに豪華な料理を乗せて、入って来た。