choice 01
山村は続けて言った。
「皆様…昼食はバイキング形式で御座いますので、お好きな料理をお取りください」
山村に続けて椿も言った。
「ただ、この船のスタッフは私と山村船長の二人だけで御座いますので、多少不備があるかもしれませんが、ご了承下さい」
山村と椿は皆に深々とお辞儀し、「出航時には船内アナウンスで御知らせします」と言い残し、去って行った。
そして、各々が好きな食事を取り昼食会のようなものが始まった。
最初は皆でテーブルを囲い食事をしていたが、しばらくすると、また各々が自由に行動し始めた。
すると船内アナウンスがパーティールームに響き渡る。山村の声だ。
『只今より出航いたします。多少船が揺れますのでご注意下さい』
山村のアナウンス通り、船のエンジン音と共に少し船が揺れる。
そして少しづつ皆の体にGがかかる。
とうとう船が出航したようだ。
九条が言った。
「とうとう僕らの旅が始まったね」
歩が言った。
「でも、こんな豪華なクルーザーにスタッフが二人だけって、ちょっと大変だねぇ…」
歩に美夢が言った。
「自分たちで出来ることは、なるべく自分たちでしたらいいんじゃないですか?」
美夢の提案に九条も快く賛同し、皆に聞いた。
「確かに藤崎さんの言う通りだな。皆、どうだろうか?」
特に誰も異論はないようだ。
有紀が言った。
「美夢と九条氏の言う通りだな。まぁ、タダでこの旅に参加したようなものだしな…異論はないな?歩…」
「あのぉ~、俺、何も反論してないんですけど…」
「お前にはしつこい位言っておかないとな」
歩は苦笑いしながら言った。
「俺ってそんなに信用ないわけ?」
有紀は皮肉った。
「よく分かっているじゃないか…」
歩は葵に助けを求めてきた。
「葵君…、どう思うよぉ…」
葵は特に歩をフォローする事もなく言った。
「有紀さんの言ってる事が、正しいかどうかは…この一週間で分かることです」
美夢がすかさず葵に指摘する。
「葵…、そこは歩さんのフォローでしょ…」
そんな二組の様子を見て九条は言った。
「ふふふ、二組共いいコンビだね。でもあまり歩をいじめてやるなよ…」