choice 01
葵は倒れていた場所から敷地の端の方まで来ていた。
敷地その物はリゾート地にしては広くない、むしろ狭いくらいた。
この位置かでも、皆か居ることがわかる。
およそ100m程か…。
先程確認したが、皆がいるところがおそらくこの『丸い敷地』の中心で、高さ3m程の時計台がそびえ立っている。
その時計台を中心に、回りに十二戸の小さなコンクリートの建物が建っている。
更にその外側四方向に四つの施設で一つは…プールか?
葵は右の人差し指でクルクル髪の毛を回しながら、呟いた。
「なかなか面白い…」
すると葵のほうに歩が駆け寄った来た。
「葵君!」
「歩さん…、先程はどうも」
「どうもじゃないよ!まぁいい、一応俺も同行させて貰うよ」
「ええ、どうぞ。だが皆はいいのですか?」
「あっちは九条に任せた…皆を混乱させない為にはあいつが適任だ。それに有紀にもいるからね」
「今一番最悪の状況は混乱して各々がパニックになることです…。それに先程の有紀さんの言動から察するに、医療に携わっている人間でしょう…懸命な判断です」
「ああ…、葵君のいう通りあいつは…優秀な内科医だ…信用できる。で、何かわかった?」
「さっぱりです…。ただ…」
「ただ?」
「この円形の敷地に、十二戸小さな建物に四つの施設…、それに外側を見てください」
歩は葵に、言われた通り外側を見た。
敷地を、水面が囲い広がっている。
「海か?でもそれにしても…」
歩も違和感に気づいたのか、葵が答えた。
「ええ、波がありません。あと空を見て下さい」
歩は空を見た。
雲が一つもなく、快晴と呼ぶにふさわしいくらいだ。
違和感を感じない歩に葵が言った。
「気がつきませんか?回りは東西南北、水平線だ障害物が一つも有りません…そして、こんなにも明るい…」
歩はようやく葵の伝えたい事がわかった。そして、それと同時に表情が凍りついた。
葵は不敵な笑顔で答えた。
「そうです…、太陽が何処にもないんです」