choice 01

葵はクルクル回っている方位磁針を見て、興味津々だが、他の三人にの表情には緊張感がある。

山村が恐る恐る言った。
「これは…どういう事ですか?」

葵は「あまり詳しくない」と前置きしたうえで、考えられる可能性を言った。

「方位磁針はN極S極は、両磁極を結ぶその方向を、その地点の向きに沿わせようと回転動作を起こします、それは地球に地磁気が…つまり地球が持つ磁気があるからです」

葵は緊張感のある三人をよそに、話を続けた。
「僕の知識の範囲ですが、考えられる可能性は…いまのところ、二つあります」

山村はまたもや、恐る恐る聞いた。
「な、何ですか?」

葵は楽しいといった表情で答えた。
「一つはこの島に磁力が集中している…もしくは島じたいが様々な磁力で、できている」

そして葵は少しためて不敵な笑顔で言った。
「地磁極じたいが、ここには存在しないか…です。それほどにこの島は異質といえます」

三人にはおそらく同時に思っただろう…。

葵は何故こんなにも楽しそうなのか?と…、島も葵の言うように確かに異質かもしれないが、この月島葵という青年も異質だと思っただろう。

緊張感の残る九条が言った。
「確かに…、地球場には方位磁針が役に立たない場所が多々あるようだか…」

葵が言った。
「それは秘境の地や、磁気性の高い岩などかある、一部の場所です。だが…この島は明らかに人工的です」


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