choice 01
第一章 contact
三日後…某港…。
葵と美夢はタクシーで、チケットに記載されている、とある港にやって来た。
時刻は午前十時四十分過ぎといったところか、午前とはいえ日射しが二人の色白い、腕や首に照りつく…。
「まだ午前だけど…、暑いねぇ…。日焼け止め塗ってくればよかった。でも、晴れてよかったねっ」
オシャレな麦わら帽子を被り、白のワンピースをヒラつかせながら、美夢は、機嫌良くはしゃいでいる。
一方の葵は、黒と青のチェッカー柄のシャツに、色の濃いめのジーンズを履いた、シンプルな服装だ。
「そうだな…、確かにいい天気だ。いや、良すぎるくらいだ。インドア派の僕には少々刺激が強いな」
葵の言う通り、空には雲が一つもなく快晴だ。
「これくらいの天気だから、船に乗った時に気持ちいいんじゃないっ!だいち雨だったら、最悪の船旅よっ!」
「ふむ…、確かに美夢の言う通りだな」
美夢の言う通り、雨の中の船旅など想像するだけで、気分が落ちる…。
いくらインドア派の葵でも、それは避けたいところだ。
葵は何かを発見したようで、美夢に言った。
「それにしても…、ずいぶん人気のない港だな…。古びた漁船らしきものが…、何隻かあるな。ただ…それらに紛れて一隻、僕らが搭乗するであろう、船が一隻あるな」
葵の指差す方を、美夢も見てみる。するとそこには、この寂しい港には到底似つかわしくない、豪華なクルーザーらしき物がそこにはあった。
葵は腕時計で時間を確認し、美夢に「おそらく、あれだ。行こう」と言い、美夢とクルーザーの方へ向かった。
美夢は「待ってよ…」と、言い。スーツケースを引きずりながら葵を追いかけた。