choice 01
クルーザーに近づくにつれ、その豪華さがはっきりしてきた。
形はシンプルだか、船体の色はワインレッドをベースにし、クラシカルな感じを出し、豪華とも、上品とも感じ取れる。
その豪華で上品な船の前に、一人の女性が立っている。
おそらく受付の女性だろうか…、身長は160cm程…細身で、黒のタイトなパンツとベストに、白いシャツに蝶ネクタイをし、手にはバインダーらしき物を持っている。
「おそらく彼女が受付だろう…、他には人がいないな…」
葵はそう言うと美夢を連れ、その女性の方へ向かった。
二人に気がついた女性は、笑顔で問いかけてきた。
「藤崎様ですね?お待ちしておりました」
二人に話しかけてきたこの女性は、手に持つバインダーを確認しながら、二人を見てる。
右目下にある泣きぼくろが、右に流した前髪を風がなびき見え隠れする。
セミロングの髪の綺麗な女性だ。
「それではチケットの御提出をお願いします」
女性に促された葵と美夢は、チケットを提出した。
チケットを確認し、女性は言った。
「藤崎宗吾様と…美夢様で、間違いないございませんね?」
宗吾の代理で来ることになった葵は、経緯を女性に説明した。
「チケットがあれば、問題ございません。月島葵様で御座いますね?」
そう言うと女性は、二本の鍵を取りだし、葵と美夢に一本づつ手渡した。
「こちらが、御部屋の鍵になります。それと御荷物はこちらで一旦預からせて頂きまして、後ほど御部屋の方へお持ちいたします。」
鍵には棒状のキーホルダーが付いている。葵のキーホルダーには『09』、美夢のには『10』と、記載されている。
鍵を確認した二人に女性は言った。
「それでは船に御搭乗下さいませ。入口に御入り頂きました、通路を右に御進み頂きまして、つきあたりにパーティールームが御座いますので、しばし出航をお待ち下さいませ。他のお客様もすでにお待ちです。では、後ほど…」
女性の説明を受け、葵と美夢は荷物を女性に預け、船に備え付けてある鉄製の橋を渡り、船に搭乗した。