男子と会話はできません
ふと見ると、今から謎でも解き明かすような、真剣な眼差しで見ていた。
「あのさ、俺……そのうち羽麗ちゃんに言いたいことあるんだ」
「……言いたいこと」
「なんだと思う?」
「さあ」と目を逸らした。
「羽麗ちゃんの今、頭の中によぎったことだよ」
「えっ?」
「じゃあ連絡するから」
と、言うと、「あ。隼人ー」と、立ち上がり行ってしまった。
隼人くんの肩を抱き、「面貸せや」と、いつもの楽しそうな口調。
びっくりした。
……なんか顔が、いつもと違って見えたから。
話って、なんだろう。
ふっと頭の中によぎる。
急に照れたり、真面目な顔したりする市ノ瀬くんの顔。
杏奈の言葉。
『可愛いとか付き合あえたらいいなとか思ってるんじゃないかってこと』
まさかと否定するのに、ドキドキが加速してしまうのはきっとあまり見たことのない表情に驚いたから。
それだけなんだ。