男子と会話はできません
会話が最初に戻ってる。
ていうか、最初から先生が踏んだのにわざと謝らなかった前提で話をしてるから、おかしい気もした。
そう思ったけど、言うことでもないし。
手元にあるプリントに意識を集中させようとする。
足したりかけたり忙しい数字が並ぶ。
いよいよ高塚は喋らなくなった。
まあそうだよな。なんかきっと話しても、無駄な気がする。
でも気づかないのが本当だったら、よっぽど鈍いのか、集中していたのか。
まあどっちでもいいけど、早く終わらないかな。
だけど、先生は問いただす。
高塚は、唇をぎゅっとかんでた。
泣かない。泣かないようにしてる顔。
怒りたいのに我慢しているようにも見える複雑な表情だった。
「先生」
思わず声をかけたのは、説教とか聞いていられなかったし、そのときばかりは高塚が可哀そうに思ってしまったからだ。
それといつもうるさくて迷惑だから、それも若干あったかもしれない。
元を正してくれたらいいのに、と。