男子と会話はできません
高塚は、立ち止まって俺を見た。
少し睨んで、瞳の力が衰えて、諦めたみたいに弱くなる。
「覚えてるなら、いいよ」
今度はゆっくり歩き出す。橋の向こうまで渡りきったとき、俺はふと犬のウララを思い出した。
「犬、好き?」
「犬、好きだよ」
「飼ってる?」
「飼いたいけど、ママが昔犬を飼ってたけど死んですごい哀しかったから、もう少しわたしが大きくなったら飼ってくれるって約束してるの。隼人くんは?」
「飼ってるよ」
「えー見たい」
「いいけど」
「犬の名前はなんていうの?」
「……」
「なになに?教えてよ」