男子と会話はできません
実咲ちゃんは安心したみたいに頬が緩んだ。
「あー良かった。嫌われちゃうかと思った」
「嫌わないよ」
「部活変わっても、友達だからね」
「うん」と頷くと、何か閃いたかのように目を丸くして言った。
「それか一緒に陸上部入る?マネージャーやろうよ?」
しっかり者の実咲ちゃんには、似合いそうだけど、わたしにはしっくりこなそうだ。
第一、男子と上手くコミュニケーションがとれる気がしないし。
「……陸上よくわかんないからな」
「そっか。まああたしもまだ考えてるとこだったから、あとで隼人くんに色々教えてもらおうかな」
「えっ?隼人くん?」
「うん。ほら陸上部じゃん、あの人」
「あ……そっか」
深い意味はないってわかると、ほっとした。