男子と会話はできません

市ノ瀬くんはスマホを見ると、「もう始まるからあとで合流しようって」とわたしに言った。


「……そっか」


空いてる場所に腰をかけたけど、肩がぶつかる程近い。


沢山の人がいるから仕方ないのだけど、急に二人きりになるのは緊張してしまう。


隼人くんたち、どこに行ったのかな?


隼人くんの着ていた白のカットソーを探すけどやっぱり見つけられない。


「羽麗ちゃん、始まるね」


そう言われてようやく今日の主役の大きなプールに視線をあわせた。









「面白かったね」


市ノ瀬くんは言った。


「可愛かった。本当に賢いね。イルカって」


「俺、小さいとき兄貴にイルカより頭悪いとか言われたことあったけど今ならちょっとわかるかも」


「嘘。そんなことない」


笑うと市ノ瀬くんはスマホを確認した。
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