男子と会話はできません
「今日部活、休みなんだ?」
「うん」
帰り道が一緒になるのは、当たり前なのだけどこんなことってないから、少しどぎまぎしてしまう。
バスはすぐに来て、いちばん後ろの席に肩を並べて座った。
「高塚、今日も帰ったら散歩行くの?」
「散歩?」
「この前、見かけたから」
思い出して恥ずかしくなった。見られないように背中を向けたけど、そんなのバレバレだったって。
「今日はどうかな。夕方にいつも行くけどママの気まぐれで早めに行くときもあるから」
「そっか。実は俺んちもさ、また犬飼い始めたんだ」
「えっ?あっ?そうなの?」
隼人くんの家の犬が亡くなったのは確か彼が中学のときだった。
小さい頃からいたって言ってたから態度には出さなかったけど、たぶんすごく落ち込んでたんだと思う。
「何飼ってるの?」
「見たい?」
「うん」
「じゃあ今日、一緒に散歩しよ」