男子と会話はできません

散歩をしながら気が付けば、家の近くまで来ていた。楽しくてあっという間だった。


「あ……あのさ」と声がハモってしまい、お互いに口をつぐんでしまった。


「あ、隼人くんどうぞ」


「今度さ、高塚んちの犬も連れてきてよ」


「あっ。うん。モコ平気だといいけど、うちの犬、他の犬見ると遊んでほしくてすごいから。仲良くなれるといいけどなー」


「モコ、愛想いいから大丈夫だと思う」


「じゃあ、連れてくるね」


「で、高塚はなに?」


「えっ……あ、うん。今日楽しかった。ありがとう誘ってくれて」


「ううん。俺も楽しかった」


嫌だった思い出が塗り替えられるくらい楽しかったけど、そんなことまで言えない。


そう思っていたけど、隼人くんは違かった。
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