男子と会話はできません
言いたいことがわからなくて「わ、わたしが悪いんですよね」とようやく返事をした。
「そういう意味じゃないよ。ほら他人は自分の鏡ってよく言うだろ?嫌いなところが映ったら、それは自分の嫌いなところってことだよ。そういう部分を相手がただ教えてるだけなんだよ」
相手から見て嫌いなところがあるわたしが悪いってことなのかな?
「高塚は頭にきたか、あいつらに?」
見つめられて、すぐに答えられなかった。
頭にこなかったといったら嘘になる。
だって意味がわからなかった。
元カノだからって、なんでああいう態度に出れるんだろうって。
もう終わっているのにって。
部外者なのに、わたしに文句を言ってきた子達はひどかった。
だけどいちばん嫌だったのは、あの子だ。
自分は何も言わないでただ見守るだけで、被害者みたいな顔でわたしを見ていたあの子だ。
「頭にきませんでした。というか、何もなかったです」
先生が肩にかけてくれたジャージを突き返すと、逃げるように帰った。
先生が「高塚」と呼んだけど立ち止まりたくなかった。
全部なかったことにしたかった。
あの子達も、先生の言ったことも全てなかったことにしたかった。