男子と会話はできません
体操着に着替えて、バスで帰った。すごくみじめな気持ちになった。
いじめってどこからいじめなんだろう。
小学生のとき、名前の悪口を沢山言われた。
だけど靴がなくなったり机の上に花瓶が置かれたりなんて、よくある行動を伴ったいじめみたいなことはされなかった。
あれはいじめだったのか、今のあれもいじめだったのか、そんなこと考えていたら、家の前に着いていた。
だけどママが家の中にいるのがわかって、体操着のまま入るのが怖くて、そっと離れた。
行くところもなくて戻る。河川敷の階段に座った。
制服が濡れた言い訳とか気づかれないように家に入る方法はあるかなって、ぼんやり考えていた。
「高塚?」
呼ばれて振り返った。そこにいたのは、隼人くんだった。制服姿で、わたしを土手の上から見下ろしていた。