男子と会話はできません
「嫌いな食べ物多いから、そう見えるだけだよ」と、麦茶を飲んだ。
「制服、乾いたんだ」
「あっ、うん。家には帰れそう。本当にありがとう」
「別に何もしてない」
隼人くんは訊きたいといったけど、何も言ってこなかった。それに安心する。やっぱり知られて嬉しいものじゃないし、聞いて気持ちのいいことでもないから。
「高塚、涙の跡ついてるよ」
「えっ?」と慌てて目じりをこすろうとすると、隼人くんの指が下瞼に触れた。
「は……恥ずかしいな。そんなのずっとつけてたなんて」
「嘘。冗談。何もついてないよ」
じゃあこの手の意味は?と、考えていると隼人くんの手が離れた。
「別に泣くのなんて恥ずかしいことじゃないでしょ」
「そ……そうかな」
「俺には見せてほしいよ。そういうの」