男子と会話はできません
「えっ……?」
「誰にされたの?」
「……」
「……」
「……知らない子」
「知らない子?」
「市ノ瀬くんの元カノって子と友達。仲良くしてるのが気に食わないんだって。それで仲良くするなって言われて、返事しなかったらぶりっこって言われて、水をかけられたの」
「ひどいね」
「ひどい、かな」
「ひどいことされたって、思わないの?」
「……」
「怒れなかったんでしょ?」
はっとして顔をあげた。
「そんな顔してるから。怒っていいんだよ、高塚」
どうして、隼人くんは、わたしのことわかってるんだろう。
そんなに話してなかったのに。
違う。関係ない。
そうあのときもだった。
小四のとき、先生にお説教をされたことがあった。
あのときだって、隼人くんは、わたしと仲良くなんかなかった。
それなのに、わたしが言ってほしいことを言ってくれたんだ。
今だって、なんで……。