男子と会話はできません

「高塚、あのさ」と、隼人くんが言いかけると、乱暴に扉が開いた。


「にーちゃん、あそぼー」と、さっき顔を出した弟くん二人がいた。


「今、友達来てるから後で」


「えーっ」と渋い顔をした。


「一緒に遊ぶ」と、つたつた歩いて、わたしの袖を引っ張った。


「何して遊ぶ?」と訊くと、「トランプー」と手にしていたキャラクターのパッケージに入ったトランプを見せた。


「なんか最近、神経衰弱にはまってるんだよね」と、隼人くんが呟いた。


小一と小二の年子だからか、何かと張り合ってるみたいで、一緒にした神経衰弱は、二人でどこか競争しているように見えた。


小二の弟くんは特に負けず嫌いみたいで、ひっくり返そうとしながら、盗み見るという技を使っていた。


さりげなく間違えたのを確認すると、「これじゃなーい」と、ひっくり返すのをやめて別のカードを選び出す。


「今のずるい」と小一の弟くんに言われても、「違うよ。触っただけだよ。見てない」と、知らぬ顔をする。


それを窘めたりする隼人くんは、学校では見えないお兄ちゃんの顔をして、一緒にいて優しい気持ちになった。
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