男子と会話はできません

「次、ばばぬきー」という頃には、少し暗くなっていて、隼人くんが「そろそろ帰る?」とわたしを気にした。


えーっと悲しそうな顔をして、「今度泊まって行ってね」と、わたしに言う二人の姿がすごく可愛かった。


おばあちゃんも、「ご飯、食べて行ったら」と、誘ってくれたけど、隼人くんが返事に困るわたしを見て断った。


代わりに家でとれた野菜と言って、スーパーのレジ袋をわたしに手渡す。


帰り道は近いのに、送ると隼人くんは一緒に歩いてくれた。レジ袋に入った野菜は、重いからと片手に持ってくれた。


「ごめんね。うち、いつもあんな感じで」


「ううん。隼人くんち、みんなあったかくて、すごいほっとした。ありがとう。隼人くんちに行って良かった」


家の人の温かさに、一瞬、学校であった嫌なことを忘れていたくらいだったから。
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