男子と会話はできません



翌朝、本当に隼人くんが迎えに来てくれた。


バス停までの道を一緒に歩く。昨日のことには触れないから、気が楽だった。


満員のバスの中は、あまり話せなかったけど、揺れでたまに身体がぶつかったりするから、心臓がいちいちうるさい。


下駄箱で靴を履きかえると、目に留まったのは、昨日いたあの子だった。


向こうもわたしに気が付いたのか、目が合った。少しだけ口角があがる。


だけど、その視線は隣にいた隼人くんに移った。


それに気が付いたのか「高塚、あれ?」と、彼女が先に行くと隼人くんは訊いた。


「確か、市ノ瀬と付き合ってたから」


迷いながら頷いた。


「俺と付き合ってるって思えばいいのにね」


「えっ?」


「高塚に他に彼氏がいたら、もうあんなこと言われない」


「そっか……そうだよね。でも彼氏なんて、出来ないからな」と首を傾げた。
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