男子と会話はできません
「数名の女子が、校舎の裏に行くのを見かけて、珍しいと思って見てたんです。
そしたら、高塚先輩が同じ場所に向かうから、なんか怪しい雰囲気―と感づいて、ちょっと覗いてみたんです。
案の上、女子集団に文句言われてましたよ。
ちなみに呼び出したのは、行実先輩の元カノさんとその友達だったみたいで、先輩に近づかないでとか言われてました。
先輩、随分性格のいい女性とお付き合いをしていたんだなと思って感慨深くなりました。
だったらわたしとでも付き合ってくれるんじゃないかなって希望が持てたような持てないような……あっ、話、それましたね」
キィィッと急ブレーキをかけた。
元カノって誰だ?
思い返してたぶん、最近までヨリ戻したいって言われていた子が浮かんだ。
断定はできないけど、可能性は高い。
どうする。羽麗ちゃんとちゃんと話をするか、そいつにまず忠告をするべきか。
考える間もなく、足は学校に向かっていた。
「あっ、先輩!だから、先に言いたくなかったのに!」と若槻の声が遠くで聞こえた。