男子と会話はできません
スマホを手にした。電話にでるかな。ドキドキしながらかけた。
「はい」
「あ。良かった。羽麗ちゃん、今どこ?」
「えっと、今まだ教室。これから帰るところ」
「嘘。ごめん。三分だけ時間ちょうだい」と通話を終わらせ、来た道を大急ぎで引き返した。
全力疾走で自転車をこぐの久しぶり。さすがにちょっと息が上がった。
部活休みの校舎は活気がなくて静かだった。本当はこんな寂しい場所にいたんだな、俺ら。
廊下を歩く自分の足音が良く響く。
待っててくれるかな。また強引なことしてしまった。
だけど、羽麗ちゃんがどんな気持ちでいるんだろうと思ったら、会いたくて仕方なかった。