男子と会話はできません
「どうだろ?」
「どうだろって!」
「まあ付き合う前の話なんだから、気にしないでよ。制服乾かして、帰ったよ、ちゃんと。それに言わなかったのは、誰にも言ってほしくないように見えたからだよ」
市ノ瀬は信じていないのか睨むように俺を見ていた。
「たぶんだけど、相手の子……なんだっけ、りおじゃなくてさちじゃなくて、二文字の名前の子」
「……芽依?」
「ああたぶんそれ。その子達にされたみたいだよ。まあだからわかってると思うけど、ちゃんと守ってあげてね。すごい傷ついてた」
また俺を睨んだけど、「だよな」と目を伏せた。
「傷つくに決まってるよな」
「守らなかったら、奪うからね」
「……」
「……」
「はあっ?」
「そのくらいの気持ちでいて欲しいってことだよ」
「あっ?あっ……ああ」と、わかったようなわからないような顔で同意した。
「つうか隼人、俺さ、付き合うってなったけど……本当はさ」
言いかけて止めた。