男子と会話はできません
「バスケやってる奴でもいたよ。そこ痛めた奴。整体行って治したとか言ってたけどな。そこ紹介するか?」
少し考えて、「聞いてくれたら助かる」と伝えた。
「つうか、陸上って今月総体じゃなかったっけ?」
「うん。まあ、それも悩んだけど出ないことに決めた。とりあえず膝を良くするほうが先だろって言われて」
「まあ……それはそうだな。でも、悔しいな」と市ノ瀬が唇を噛んだ。
「でも焦るなよ。隼人なら、少し休んでも大丈夫だ」
そう言うと、今度はゆっくり階段を下りて行った。
教室に着くと、始まっているはずの授業が始まっていなかった。
隣の席の子が、「自習して待ってろって」と、プリントを見せながら教えてくれた。
真面目にやっている子もいるけど、席を離れてお喋りをする奴もいて、自習時間というより自由時間みたいだ。