男子と会話はできません
「うん。そのときさ、一日休んだだけでも置いて行かれてる気がしてすごく焦ってた。でも休むときに休まないと、本当に陸上続けられなくなるからね」
と、俺の顔を見て言った。
「膝だって治るし、今まで以上にいい走りが出来るようになるよ。大丈夫。あたしみたいに失敗してほしくないから、焦らないでね。走る隼人くんをまた見たいもん。あたしもサポートするから」
「うん。でも大丈夫。焦ってないし、少し休みたかったから丁度良かったよ」と、プリントに視線を落とした。
運動場を走る影が前を横切っていく。
真壁は「頼りにしてくれてもいいのにな」と呟いた。
人を守れとか、他人には偉そうに言えるのに、自分はそういうことをされるのは、たぶんきっと苦手だ。
だから、平気な振りは、昔から得意なんだ。