男子と会話はできません

頷くと、「あたしは彼氏なんか全然だめだなぁ。羨ましいよ」と、気落ちした。


「いい人、いないの?」


「うーん」と少し悩んだ顔をしてから、「気になってる人はいるんだけどね」と、困ったような笑顔で言った。


「陸上部の人?」


「うん。ていうか、隼人くんなんだけどね」


「隼人くんか」


「いいなぁと思ってたんだけど、全然相手にしてもらえない。女嫌いって言う噂は本当だったのかなー」と、眉尻を下げた。


わたしはその一言で、気持ちがふわりと軽くなった。それにさ、と実咲ちゃんは続けた。


「最近隼人くん、部活休んでるからあまり話せないんだよね」


「えっ?なんで?」


「膝、痛めてるんだって。少し休めって言われたみたい。今月の総体も出ないことにしたみたいだから、落ち込んでないかなって心配なんだよねー」
< 226 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop