男子と会話はできません
頷くと、「あたしは彼氏なんか全然だめだなぁ。羨ましいよ」と、気落ちした。
「いい人、いないの?」
「うーん」と少し悩んだ顔をしてから、「気になってる人はいるんだけどね」と、困ったような笑顔で言った。
「陸上部の人?」
「うん。ていうか、隼人くんなんだけどね」
「隼人くんか」
「いいなぁと思ってたんだけど、全然相手にしてもらえない。女嫌いって言う噂は本当だったのかなー」と、眉尻を下げた。
わたしはその一言で、気持ちがふわりと軽くなった。それにさ、と実咲ちゃんは続けた。
「最近隼人くん、部活休んでるからあまり話せないんだよね」
「えっ?なんで?」
「膝、痛めてるんだって。少し休めって言われたみたい。今月の総体も出ないことにしたみたいだから、落ち込んでないかなって心配なんだよねー」