男子と会話はできません

だから最近、行きや帰りに一緒になることが多かったんだ。


朝練を休んでるのは、そんな理由があったんだ。


わたし自分のことだけで、なにも気付けなかったな。


隼人くん、心配してくれたんだ。そんな辛いときに。


「こうやって休んでる間もけっこう焦ったり悩んだりするもんなんだよね。だから心配でさ。わたしも足痛めて練習できないときそうだったから」


「そっか。早く良くなるといいね」


言いながら、何かしてあげたいと思ったけど、わたしには何もできない。


実咲ちゃんみたいに、そういう経験がある人のほうがきっと隼人くんの気持ちだってわかるし、上手に支えられるんだろうな。


杏奈に隼人くんを見守るって言ったことがある。


見守るのって、本当に簡単じゃなかった。


それどころか、わたしはただ見つめるしか出来ていなかったんだって気づいた。

< 227 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop