男子と会話はできません
「お……応援に行っても、いいかな?」
「……」
「……」
「えっ?」と、拍子抜けした顔をするから、やっぱり迷惑なのかもと気付いて恥ずかしくなった。どうしよう。やっぱり言うんじゃなかった。
「いや……やっぱり、大丈夫です」
だけど、「応援って、あ、バスケの?」と確認するように言う。質問の意味が完璧に伝わってしまって訂正できない。
「は……はい」
「ごめん。今、素でなんかびっくりしただけで……えっと、来てくれるの?まじで?すっげー嬉しい」
「迷惑……じゃない?」
「はっ?なんで?嬉しいに決まってるでしょ」
「……そ……そっか」
「よし。俺、頑張るわ!」
その笑顔が、本当に嬉しそうで、わたしも自然と笑顔になる。
そっか。わたしが思っていることを相手が思っているわけじゃない。だから伝えてみるまでわからない。
わたしが言ったことで、こうして喜んでくれることだって、あるんだ。
「言ってくれて、ありがと」
大したことのないと思っていた話を、真正面から受け止めてくれることだって、あるんだ。
「ううん。わたしこそ、ありがと」
いっぱいお喋りできたはずなのに、急に我に返ると、少し気恥ずかしくもあって、そう伝えるだけで今日は、いっぱいいっぱい。