男子と会話はできません
「うん。が……頑張ってほしくて。ごめん。頑張れって思って作ったけど、上手じゃなくて、がっかりだよね」
「何言ってんの?すっげー嬉しいよ。なんかバスケボールとペアみたいだね」と、バスケットボールの隣に並べるから、いたたまれない気持ちになった。
もっと上手だったら、そう言ってもらえて嬉しいはずなのに。不釣り合いすぎて、ペアなんて思えない。
「あっ、ごめん。俺、気が付かなかったね」と、急に神妙な顔つきに変わった。
「えっ?」
スポーツバックについていた、バスケットボールのお守りを外すと、
「他の子からもらったのつけられるのって、嫌だよね」と、ばつが悪そうに言った。
あ。わたし、変な顔しちゃったから、勘違いさせてると、ようやく言った意味を理解した。
「ダメだよ!」と、慌てて止めた。
「頑張れって、気持ち込めて作ってくれたんだから、捨てるなんてダメだよ!つけて!お願いだから……」
「……え?」
「……え?」
顔を見合わせると、市ノ瀬くんは、ふっと吹き出した。