男子と会話はできません
「あれ?」
「ごめん。羽麗ちゃん、一生懸命で、なんか可愛くて笑っちゃった。捨てないよ。うん。捨てれないよ」
外したから捨てるのかと思い込んでしまった。先走りすぎ。そうだ。市ノ瀬くんは、そんな心無いことするはずないのに。
「ごめんね。勘違い……」
「うん。わかってる。たださ、一緒につけるのは嫌かと思って、こっちはバックにつけないようにしようかと思ってさ」
「ううん。先にもらったんだから、鞄につけたままでいいよ。わたしのは……えっと鞄の中とか目立たないところにでも入れて持ってくれたら、嬉しいかな」
「わかった。じゃあ、羽麗ちゃんのは、鞄に入れて持ち歩くから。そのほうが汚れないしね」
「うん。そっちは、つけてていいからね」と、念を押した。
「うん。やべー、俺、超幸せ者だね」
大袈裟だけど、喜んでくれるのはやっぱり嬉しい。だけどここで言わなきゃいけないことがあったんだ。
ごくりと唾を飲み込んだ。少し緊張してた。