男子と会話はできません
「面白くない?」
「うん。なんか昔の人がどうしたこうしたって言われても、そっかーって感じで頭に入らないし。人の名前とか聞きなれない言葉が多すぎるし。暗記、苦手なのもあるかな」
「でも英語もさー、単語とか文法とか覚えること多くない?」
「うーん。知らない人の名前よりは覚えやすいからいいのかも」
文句をお互いに言い合いながらページを進める。30分くらいは経ったかな。そんなに得意じゃないといった英語を勉強していたせいか、明らかに市ノ瀬くんの集中力が切れている。
市ノ瀬くんは「あーっ。ダメだー」と床に背中をつけて寝そべった。腕を伸ばす。
「休みながら、ね」
「そうだよねー。そうだよねー。休みながら勉強すればいいよね。羽麗ちゃん、なんか元気になること言って」
「元気になること?」
どういうことだろう。元気になること?