男子と会話はできません
「だから話したかったんだ?」
コクリと頷いた。
「そっか。話してくれてありがと」
「ううん。気になるの当たり前だよ」
「あのさ、羽麗ちゃんさ、もう、はや……」
「市ノ瀬、俺、先帰るわ!」と、気が付いたらリビングのドアが開いていて、市ノ瀬くんの友達がいた。
「ごめんね。邪魔して」と、わたしに謝ると、「でもあいつらはまだいるってよ」と、言うと市ノ瀬くんに何か耳打ちしてほくそ笑む。
「あいつら」と、顔色が変わると「羽麗ちゃん、少しここで待ってて」と、飛び出して行った。
何かあったのかな。
会話、途中だったけど、何を言いたかったんだろう。
ふと市ノ瀬くんの友達に見られていることに気付いた。
「市ノ瀬とどう?」
「うぁっ……はい」
変な変事をしてしまう。
「珍しいからさ」
「えっ?」
「羽麗ちゃんみたいなタイプと付き合うの」
「そう……ですか」
「なんかぎこちないよね。二人。見てて新鮮。市ノ瀬がらしくなくて、笑える」と、口元をゆるめた。