男子と会話はできません

「隼人くん」


「なに?」


「実咲ちゃんなんだけど」


実咲ちゃんのことちゃんと応援してあげたいと思った。だけど名前を言ってから、わたし、何を言うつもりなんだろうと、我に返る。勢い余って変なことを言ってしまうところだった。


「すごく良い子なんだよ。一緒にいるとすごく元気もらえるし、しっかりしてるし。それに、可愛いし」


「……」


「ああいう子、彼女だったら、すごい幸せなんだろうなって思う。そんな気するよね?」


「……なんでそんなこと、俺に訊くの?」


冷ややかな声だった。穏やかなのに、どこか心ない。心がきしりと悲鳴をあげそうになった。同時に恥ずかしくなった。得意げに何を言ってるんだろう。今まで、ちゃんと応援できないでいたのに、急に張り切って実咲ちゃんの肩を持つ自分は不自然かもしれない。


「そう思うって言ったら、高塚はどう思うの?」


「……えっ?……お似合いだから、いいなーって思うよ」


「それって、真壁と付き合えって言いたいの?」


「……えっと」


言葉に詰まりながらも、軽く頷いた。顔が見れなかった。隼人くんが怒っているように感じた。余計な話をしてしまったのかな。隣に居づらくて、今すぐバスを降りたくなった。

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