男子と会話はできません

スーパーに着くと、隼人くんが店員さんに声をかけてくれて、段ボール置き場を教えてもらった。優しい人で、持ちやすいように紐で縛ってくれた。お礼を言って受け取る。


「二人で持てるくらいで良かったね。持ちづらくない?」


「だ……大丈夫?」


「持てなくなったら、言ってね」


「うん」


「高塚は、市ノ瀬と文化祭、回るの?」


「え?」


「彼女と回るって言ってた奴いたから、高塚もそうなのかなって思って」


「あー」


わたしと回って楽しいかな。なんとなくこの前、ぎこちないと言われたのが、引っかかっていた。


というか、誘われてもなかった。


「ごめん。余計なこと訊いたみたいだね」


「あっ、ううん」


「何かあったの?」と気遣うように訊いてくれたけど、市ノ瀬くんの相談は聞けないって言われたから、言えない。


言葉に詰まり黙ると「市ノ瀬が何かした?」と、隼人くんは訊く。こういうときは言ってもいいのかな。相談じゃなければいいかな。
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